2012年6月5日火曜日

第十二番札所がわからない 湖東三十三所(野洲郡三十三所)現地探訪_7

湖東三十三所を調べていると、いくつか判らない札所が出てきたのですが、第十二番札所については、寺院名も異なれば、所在地も異なる難問にぶつかりました。

それが次のようなことです。

【実光坊(江頭)】

文献元:「企画展 近江西国三十三所」(2006年)図録72ページより/栗東歴史民族博物館



【実光坊(江部)】
情報元:「野洲川風土記 湖東三十三所と野洲川扇状地」国土交通省 近畿地方整備局 琵琶湖河川事務所

*実光坊というお寺は、地図を探しても「江頭」(近江八幡市)にも「江部」(野洲市)にも見つからない。
また両方の資料に簡略図が書かれてあるが、どちらも永原御殿跡の近くに第十二番札所があることになっている。
恐らく、栗東の歴博の江頭は江部の間違いではないかと思われる。
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【無障山 長光寺(近江八幡市長光寺694)】
文献元:「湖国と文化 平成8年冬号(第74号)特集:旅と信仰」47ページより/(財)滋賀県文化振興事業団



他に、湖東三十三所の第25番札所の日照山 東光寺さんのホームページ

*近江八幡には「長光寺」と名の付くお寺が2件ある。
ひとつは、旧中仙道(国道8号線)武佐宿から八日市に向かう、「補陀洛山 長光寺(高野山真言宗)」(びわ湖百八霊場第75番札所/湖東第22番)
もうひとつは、近江八幡市江頭の集落の「無障山 長光寺(浄土宗)」 がある。
ややこしいことに、文献元は、山名と宗派が正しいとすると、所在地が間違いということになり、所在地が正しいとすると、山名と宗派が間違いということになる。

*また「補陀洛山 長光寺」は聖徳太子が建立のあかしとして植えたとされる「ハナノキ(県の天然記念物)」があることから、お寺が野洲郡から移転した形跡もなく、第十二番札所だけが創設当初から遠く離れるということが考えにくい。

*御詠歌も
「補陀洛山 長光寺」:やみじには まよいぞはて志 ほだらくの みのりの月の 長き光に
探している長光寺:雲霧の 迷ひも晴れて ここに見る 月ぞ誠に 光なりけり
と御詠歌が「迷い」を暗示していることなど共通していますが異なります。
(歌の通りに迷ってますが・・・。)

【無障山 長光寺(近江八幡市江頭)】
*山名と宗派が正しいのならば、江頭の長光寺となる。
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よって文献から4つの候補が浮かび上がったのだが、誤記と思われる点を鑑みると、
【実光坊(江部)】か【無障山 長光寺(近江八幡市江頭)】に絞り込める。
そこでまずは地図でも実在が確認できる、「無障山 長光寺(近江八幡市江頭)」から行ってみました。

より大きな地図で 湖東三十三所(野洲栗本三十三所) を表示

毎度のことながら古くからある集落のため、車での巡礼は駐車場がなく、近くを探す必要が。
フレンドマート平和堂の近江八幡江頭店から買い物ついでに行く事にしました。

長光寺さんへは、 だいたい徒歩5分程度。明治の学校建築が残る公民館や日吉神社など見どころがあるのですが、今回は長くなりすぎるので省略します。

 近江八幡市江頭町の浄土宗 無障山 最勝院 長光寺さんです。
 石碑を見たところ、十一面観世音のことが刻まれていません・・・。
 所在地が違うものの、ここが「湖国と文化 平成8年冬号(第74号)特集:旅と信仰」に書かれてある無障山 長光寺さんであることは間違いがないようですが、観音様が・・・。
そこで突然で失礼ながら、湖東三十三所の札所であるかどうかを、直接訪ねに行きました。
そして突然の訪問であるにも関わらず、お堂に上げて頂きました。
今もなお、湖東三十三所の札所として、来る人が少ないながらもあるのなら、十一面観音さんの話になるのですが、どうも札所は札所でも、法然上人さんの札所ということで、見せて頂いた御詠歌額は、次のものでした。

第十二番札所ではあるのですが・・・。
『圓光大師(法然上人)廿五霊場』
私個人にとっては、菩提寺が浄土宗なので、法然上人さんの、ゆかりの霊場に出会えたことは嬉しいのですが、今回は観音霊場として探しにきたので・・・。
ありがたくもあり、突然の訪問で申し訳なくもあり、御礼を言って帰りました。
う~ん・・・。役に立つ文献なのですが・・・。
山名、宗派、所在地に混乱が見られるので、果たしてここなのでしょうか?
確信がもてないまま疑問が残ります。(調査続行)

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